課題解決の事例

外国籍住民への新たな情報提供手段-特に東南アジア圏の言語翻訳と費用対効果が魅力

栗原市(宮城県)

業務領域
広報広聴
サービス
マイ広報紙(ライトプラン)

課題と解決策

課題

広報紙のテキストファイルを住民が利用する際に手間がかかる点が課題として挙がっていたほか、人件費高騰による委託費増で、費用対効果にも課題が生じていた。また、外国籍住民が増える中で、特に東南アジア圏の多言語対応が難しい状況だった。

解決策

広報紙のテキスト化や音声読み上げ、多言語対応など、求めていた機能が一通り備わっている点や、費用面でも負担を抑えられる点を踏まえ、「マイ広報紙」のライトプランの導入を決定。

効果

地域情報を案内する窓口として活用でき、市民への情報提供がスムーズになった。さらに、年間約30万円のコスト削減に加え、多言語対応や読み上げ機能により読みやすさが向上し、高い費用対効果を得ることが出来た。

課題解決の取り組み

目次
栗原市市庁舎

宮城県栗原市は、県の内陸北部に位置する田園都市です。森林や原野、田畑が8割を占め、市内北部には栗駒山、東西には迫川が横断する、豊かな自然と人の営みが調和するまちです。
市内北東部に位置する伊豆沼・内沼には、冬期になると数十万羽もの渡り鳥が飛来し、一斉に飛び立つ光景を一目見ようと全国から多くの人が訪れます。

栗原市では2025年より、広報紙のデジタル化サービスである「マイ広報紙」のライトプランを導入。今回は市の企画部 市政情報課 広報統計係 熊谷はるか様に、導入に至ったきっかけや背景、効果などについてお話を伺いました。

企画部 市政情報課 広報統計係 熊谷様

1.視覚障害のある方、外国籍住民への広報の課題をまとめて解決―導入の理由

基本的には職員2人体制で、取材から記事案の制作までを行っていますが、編集や土日に発生する取材などは業務委託でお願いするなど、外部のリソースも織り交ぜながら広報紙の制作を行っています。

市では、業務委託による広報紙のテキスト化とデータ化を行っており、メモ帳ファイル(.txt)形式で自治体ホームページ上に掲載していました。
しかし、その方法だと視覚障害のある方はもちろん、広報紙をラジオのように聞きたい方は読み上げ用ソフトウェアを使用する必要があり、利用の手間がかかる点が懸念としてありました。

また、近年の人件費高騰により今後も委託費が増加することが見込まれており、費用対効果の面で課題を感じていました。

さらに、市内では働き手として移り住む外国籍住民の増加が進んでおり、4年前の1.5倍以上となりました。
特に栗原市の場合は、ネパール語、インドネシア語、ベトナム語を母国語とする東南アジア圏の方が多く住んでいます。
テキスト化にあたり、これらの多言語対応は既存のシステムだと難しく、個別に整備する場合は更に費用負担が発生する状況で、大きな課題となっていました。

「マイ広報紙」は以前よりフリープランで利用しており、web上でテキストとして読めることが魅力的だと感じていました。
有償化され機能が増えると聞き確認したところ、テキストデータ生成のほか、音声読み上げ、多言語対応など、実現したい機能が網羅されていることが分かりました。
費用面でも負担が抑えられることから、導入を決定しました。

2.予算の切り替えにより、スムーズな導入が実現―導入に向けての課題

業務委託していたテキスト化業務を「マイ広報紙」へ完全に切り替える形だったため、予算面での大きな課題はありませんでした。
むしろ、従来よりもできることや機能が増えるうえに費用も削減できる見込みがあったため、財政部門の承認もスムーズに進みました。

また、業務フローも以前と大きくは変わらず、マイ広報紙上に反映された内容を確認するだけで良く、業務負担も変わっていません。
従来の業務委託から自然に移行できる見込みがあったため、導入に対する不安は特にありませんでした。

月1回発行の「広報くりはら」

3.地域の情報の窓口として活用、高い費用対効果も獲得―導入の効果

地域の情報を案内する一つの窓口として「マイ広報紙」を案内できるようになり、市民への情報提供がよりスムーズになったと思います。
市の情報を取得する手段として広報紙はやはり大きな割合を占めており、暮らしや防災といった情報を、視覚障害の方、外国籍の方が得やすくなったという点は大きな効果だと思います。

また、「マイ広報紙」を導入したことで、年間約30万円の費用削減につながったうえ、多言語対応や音声読み上げなどの機能の実装により読みやすさが向上し、高い費用対効果が得られています。

4.サポート面は充実、さらに利用者視点の機能があれば―評価や改善点

運営サポートについては、連絡がつきやすく、レスポンスが早いため安心して使うことができています。

機能面については、「やさしい日本語」の対応がされると良いと思っています(編集部注:「やさしい日本語」は現在オプション提供中)。栗原市の自治体ホームページでも導入を検討している段階ではありますが、自治体ホームページから「マイ広報紙」をシームレスに「やさしい日本語」で閲覧できる状態になれば、情報発信媒体として、形が整うのではないかと思います。

他にも、どうしても情報は忘れてしまうものなので、記事のお気に入り機能があると良いと感じます。紙面の広報紙だと、イベント情報を見てカレンダーに書き込む人がいたり、スマートフォンだとページをお気に入り登録したり、皆さん様々な方法で情報をまとめているかと思います。そういった情報をアーカイブする機能が「マイ広報紙」にもあれば良いなと思います。

5.「マイ広報紙」をより住民に周知、情報発信の強化へ―今後の展望

まずは「マイ広報紙」をさらに住民に周知していくことに取り組みたいと考えています。
今後、外国籍の方がどんどん増えていくことが想定されますし、外国籍でなくても栗原市に転入してくる方々への情報発信の窓口として、まずは利用してもらえるような体制を作りたいと考えています。

例えば、転入してくる方にお配りしているペーパーに「マイ広報紙」の情報を掲載したり、広報紙のページの半分を使って大々的に「マイ広報紙」を紹介したり…。
様々な方法で「マイ広報紙」を周知することで、情報発信媒体を明確にすることも、1つの窓口改革と言えるのではないかと思います。

(2025年12月18日掲載)
※自治体情報・肩書などを含め、本事例ページに記載された内容は取材当時(2025年11月)のものです。

利用サービス