取組紹介・コラム
外国人住民人口は全国で約400万人に―地域の情報発信に求められる多言語対応
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外国人住民の増加で変わる情報発信のあり方
総務省が2026年7月末に公表した住民基本台帳に基づく人口データによると、2026年1月1日時点の外国人住民人口は約400万人となり、前年から約35万人増加しました。
増加率は9.62%で、調査開始以来最多となっています。
また、外国人住民は全国人口の3.26%を占めており、47都道府県すべてで前年を上回りました。
外国人住民の増加は一部の大都市だけで起きているものではなく、全国的な傾向となっていることが分かります。
外国人住民が増えるなか、自治体には誰もが必要な情報を受け取れる環境づくりが、今後ますます求められると考えられます。
その一つが多言語での情報発信です。では、こうした取り組みは全国でどの程度広がっているのでしょうか。
PDF化は9割の一方、多言語翻訳などの機能活用はこれからの段階

当社が2025年に実施した自治体広報に関する調査では、自治体の約9割以上が紙面のPDF版をホームページに掲載していることが分かりました。
一方で、多言語翻訳や音声読み上げといった機能を備えた「民間プラットフォーム」や「専用アプリ・サイト」などの活用は、3割程度にとどまっていることがわかりました。
(参照:2025(令和7)年度 自治体DXに関する調査報告書(概要版))
ホームページにPDFを掲載していても、そもそも日本語を読むことが難しい住民にとっては、その内容を理解することは容易ではありません。
広報紙を単にPDF化して公開するだけでなく、多言語への翻訳や音声読み上げに対応できる形式で発行し、必要な情報を住民に確実に届けられる環境を整備していくことが重要です。
自治体ごとに異なる言語ニーズ
外国人住民の増加という状況は全国共通ですが、どの国や地域にルーツを持つ住民が多いのかは自治体によって異なります。
宮城県栗原市では、外国籍住民のなかでもネパール語、インドネシア語、ベトナム語を母語とする住民への対応が課題となっていました。
(参照:外国籍住民への新たな情報提供手段-特に東南アジア圏の言語翻訳と費用対効果が魅力)
一方で、愛知県瀬戸市では、英語だけでなくポルトガル語やタガログ語(フィリピン語)、マレー語などの言語が重視されています。
(参照:「マイ広報紙」導入で業務負担を軽減――紙との併用で進める瀬戸市の広報DX)

このように、外国人住民への対応といっても、必要となる言語は自治体ごとに異なります。
そのため、多言語対応を進める際は、まず地域にどのような住民が暮らしているのかを把握することが重要です。
また、多言語対応は広報部門だけの課題ではありません。
教育や福祉、市民協働、防災など、住民の暮らしに直結するようなさまざまな部門で、考えるべきテーマになりつつあります。
例えば、ごみ出しルールや子育て支援制度、防災情報などが十分に伝わらなければ、住民が必要なサービスを利用できなかったり、生活のなかで困りごとや住民同士のトラブルが生じたりする可能性があります。
また、情報が伝わらないことによって、窓口や電話への問い合わせ増加につながることも考えられます。
多言語対応は、住民サービスの向上と円滑な自治体運営の両方を支える取り組みとして、重要性を増してきています。
情報発信の強化と業務負担の両立
外国人住民への情報発信の必要性が高まる一方で、自治体の現場では運用面の課題もあります。
多言語対応を進めようとしても、翻訳作業には時間がかかり、対応する言語が増えればその分だけ確認作業や運用負担も大きくなります。
また、限られた人員体制のなかで継続して取り組めるか、という視点も重要です。
埼玉県本庄市では、広報紙の多言語対応を職員が行っていましたが、少人数で取材から編集、紙面作成まで担うなかで、月2回発行する広報紙の翻訳作業に対する負担が課題となっていました。
(参照:広報紙の多言語対応の負担を軽減―翻訳作業を効率化した本庄市の広報DX事例)
多言語対応の必要性は認識していても、限られた人数の中で、広報紙やホームページ、SNS運用を一手に担う自治体も少なくありません。
新たな情報発信が必要になるたびに翻訳作業が発生すれば、その分だけ確認や校正にも時間がかかります。
そのため近年は、「多言語対応をするか」ではなく、「どうすれば無理なく続けられるか」という点が課題になっています。
こうした事例から見えてくるのは、住民へ必要な情報を届けることと、担当部署が無理なく運用を続けられることを両立することの重要性です。
外国人住民の増加が続くなかでは、多言語対応の必要性だけに目を向けるのではなく、継続的な運用が可能な情報発信のあり方も、あわせて考えていく必要があります。
まとめ
2026年、外国人住民は全国で約400万人となり、全都道府県で増加しています。
各自治体でも、多言語対応と業務負担の軽減を両立するため、情報発信の仕組みや運用方法の見直しが少しずつ進められています。
外国人住民の増加が続く現在、それぞれの自治体に合った手法を検討しながら、継続的に情報を届けられる体制づくりが今後ますます重要になりそうです。
