課題解決の事例

広報紙の電子化にかかる業務負担を大幅に軽減!外国人にも配慮したデジタル広報を実現

松戸市(千葉県)

業務領域
広報広聴
サービス
マイ広報紙(ライトプラン)

課題と解決策

課題

従来の広報紙配信サービスでは職員の業務負担が大きかった。また、年々増加している外国人住民に配慮した情報発信が重要視されていた。

解決策

マイ広報紙のライトプランを導入、職員は発行日に合わせて原稿データを提出するだけで広報紙の電子化を実現した。使用者数の多い20言語の翻訳にも対応し、外国人住民でも市の情報入手が容易となった。

効果

従来の広報紙配信サービスでは1回あたり10時間ほどの作業が発生していたが、導入後は入稿のためのメール送付のみとなり、職員の業務負担が大幅に軽減された。

課題解決の取り組み

目次
写真:松戸市役所

千葉県松戸市は県の北西部に位置し、都心へのアクセスが容易であることが魅力の1つです。自然も多く、スポーツ施設や図書館など生活に欠かせない施設なども豊富で、首都圏の生活都市として人気を集めています。また、年々外国人住民が増加しており、市としても「多文化共生の推進」を総合計画の基本目標として掲げています。

今回は松戸市の広報広聴課で広報紙を担当している柳澤秀和氏に、お話を伺いました。柳澤氏は平成23年度に松戸市役所に入庁。当時の広報広聴課に相当する政策調整課広報担当室に配属となり、広報紙やホームページの担当として従事しました。その後は福祉長寿部障害福祉課、環境部廃棄物対策課に配属され、令和5年度に改めて広報広聴課の配属となりました。

松戸市は、令和7年度より「マイ広報紙」のライトプランの導入を開始。柳澤氏には今回、その「マイ広報紙」の導入に至った背景や今後の広報広聴の課題についてお話を伺いました。

写真:柳澤氏
松戸市の広報紙担当、柳澤氏

1.市の広報の現状

不特定多数ではなく、住民のニーズに沿った情報発信への転換を

松戸市では時節柄に応じたホットなニュースを出すためにも、現在月2回、1日と15日にそれぞれ広報紙を発行しています。

他にもインターネット上で様々な配信ツールを使って情報発信を行っており、多様な人が多様な情報を入手できる仕組み作りに注力しています。今までの自治体の情報発信は、不特定多数のなるべく多くの人の目に情報を提供することを優先しており、誰に向けた情報なのかをジャンル分けせずに配信していた側面がありました。これからは、なるべく多くの情報が、適切な頻度かつ必要なジャンルに絞られた形で住民の皆様に届くようにする、という意識づけを市全体としても取り組んでいく必要があると感じています。

広報紙においてはそういったピンポイントでの情報発信が難しいのですが、記事ごとに切り分けてインターネット上で配信を行うことで、住民の皆様が必要としている情報を届けられればと考えています。

2.広報紙業務における課題

電子化にかかる職員の業務負担が課題

現在民間の広報紙配信サービスを複数利用し、紙媒体の広報紙を入手できない方も情報が入手できるようにしています。

ただ、電子化するにあたり記事ごとに切り分けてデータを作成する作業が発生し、職員の業務負担が大きいことが課題としてありました。また、記事の内容が多く、紙面に載せきれないものについては別途ホームページに誘導することが多いのですが、紙面上のQRコードにリンクを個別設定するという作業も発生していました。それらを合算して、1回あたり10時間ほどの時間がかかっていました。

さらに、その作業を会計年度任用職員に担当してもらっていたので、その方がいないと掲載が発行期日に間に合わなくなるというリスクもありました。

3.「マイ広報紙」を導入した効果

職員の負担を軽減しつつ望ましい形での広報紙配信を実現

自治体職員側の作業負担がほぼない形で配信ができることと、多くの言語に翻訳対応しているのが良いと思ったポイントです。

これまでは記事ごとに切り分けてデータ化する作業が発生していましたが、「マイ広報紙」は原稿データを送るだけで、発行日に記事ごとに分かれた形で掲載されるのが嬉しいです。記事内のURLのリストを送ると「マイ広報紙」サイト上でリンクとして反映されるのも、QRコードにリンクを個別に設定する業務負担が軽減されたという点でありがたいと感じています。

また、松戸市では年々外国人住民が増加傾向にあるため、より多くの言語に翻訳対応している点も外国人住民への配慮という点で大きなポイントだと思います。

4.「マイ広報紙」に求める改善点

職員の業務負担ゼロへの期待

ホームページへの誘導については、QR化の作業負担は軽減されたものの、URLのリストを送付する必要があるため、記事内のURLを自動で読み取ってもらえるようになれば良いと感じています。

目の不自由な方がより読みやすい広報紙へ

また、紙面では色をつけたり太字にしたりと、見出しとして強調している部分が、現在の音声読み上げ機能ではそのまま読み上げられてしまうという点があります。目の不自由な方でも、見出しとして認識してもらえるような仕組みがあると、よりアクセシビリティに対応したテキスト情報になると思います。

5.今後改善していきたい広報紙全体の課題

近年特に課題となっているのは、広報紙面のスペースの確保です。住民サービスが多岐にわたってきている中で、不特定多数の方に市政情報やイベント、啓発などの記事を出そうとすると、紙面のスペースに対して情報過多になってしまいます。

また、どの家庭でも新聞を取っていて、文字が多くても読んでもらえるような時代から変化してきているという社会背景もあり、文字ばかりの情報ではなかなか読んでもらえないのが実情です。

そのため、必要な情報は紙面に出しつつ、より細かい条件や対応要件などの内容はホームページの方に誘導する、という形式を採用しています。

加えて、画像やイラストを使用する、シンプルで分かりやすい文面にするだけでなく、読んでいて「このイベント面白そう」「参加してみたい」と感じてもらえるような、堅苦しくないポップな紙面づくりを心掛けています。

また、アクセス分析の結果から、「マイ広報紙」を見ているのがほとんど日本人ということが分かりました。地域に住む外国人住民に向けてどう周知していくか、そのために国際系の部署とどう連携を図っていくかは、今後の課題であると考えています。

(2025年7月23日掲載)
※企業情報・肩書などを含め、本事例ページに記載された内容は取材当時(2025年5月)のものです。